消費性向低下は続く:政府はどう見る?
2018年6月分の毎月勤労統計と家計調査が今日発表になりました。マスコミの報道は、毎月勤労統計が主で、6月現金給与総額は対前年同月比で3.6%の上昇、消費者物価上昇を差し引いた実質値でも2.8%の上昇になったといった内容です。
所定内給与の伸びは1.3%でしたが、ボーナスの伸びが7%と大きかったことが主因という事ですが、昨年度の決算が好調だったことを受けて、企業としては固定費になる所定内給与の増加には慎重で、収益好調分はボーナスでという事でしょう。国際、国内共に経済環境が不透明な中で、企業もそれなりに考え、従業員に報いたという事でしょうか。
このブログでは給与の動きは勿論関心事ですが、この所、特に注目しているのは消費支出の動向です。
という事で、今日、同じく6月分が発表された家計調査と合わせて勤労者家計の収入と支出を見てみました。
少し長期に見るので、毎月勤労統計では時系列比較のしやすい賃金指数で見てみます。調査産業計、5人以上事業所で(いずれも対前年同月比)です。
現金給与総額の伸び:5月2.1%、6月3.6%、昨年の5,月、6月のそれぞれ0.6%、0.4%を大きく上回っていますし、所定内給与の伸び:5月0.9%、6月1.3%も昨年の5月、6月の0.7%、0.5%を上回っています。
一方、家計調査の「勤労者所帯(2人以上)」の消費支出を見ますと今年5月は前年同月比マイナス5.3%、6月はマイナス2.2%と全く振るいません。
結果的に平均消費性向は前年同月比で、5月:6.0%ポイントの低下(102.3%→96.3%)、6月:5.3%ポイントの低下(49.9%→44.6%)という状況になっています。
ボーナスなどの収入が伸びた場合、収入の伸びが大きいと、消費支出の伸びが追い付かず、消費性向が下がるという事はあり得ても、収入が増えたにもかかわらず、支出が減るというのが最近の状況なのです。
1~4月の消費性向の低下状況は この6月6日にも整理した通りですが、勤労者家計の節約志向は、異常とも思える状態ではないでしょうか。
現政権は、春闘の時だけ、賃上げ奨励で、それで消費を増やす政策を打ったつもりでいるのかもしれませんが、消費者の財布の紐が固い真の理由と言われる「将来不安」「老後不安」の問題に手を打たれなければ、消費不振からの脱出は容易ではないでしょう。
この問題は、最終的には「 政府の信用」という基本問題に行き着くのでしょうが、国際関係の混乱への対応のまずさ、気候変動による災害の激化、そして政治家も含む人災のひどさを見れば、国民が安心して消費行動を楽しめるようには、なかなかなりそうもないようで、これも将来不安を募らせているのでしょう。
2018年6月分の毎月勤労統計と家計調査が今日発表になりました。マスコミの報道は、毎月勤労統計が主で、6月現金給与総額は対前年同月比で3.6%の上昇、消費者物価上昇を差し引いた実質値でも2.8%の上昇になったといった内容です。
所定内給与の伸びは1.3%でしたが、ボーナスの伸びが7%と大きかったことが主因という事ですが、昨年度の決算が好調だったことを受けて、企業としては固定費になる所定内給与の増加には慎重で、収益好調分はボーナスでという事でしょう。国際、国内共に経済環境が不透明な中で、企業もそれなりに考え、従業員に報いたという事でしょうか。
このブログでは給与の動きは勿論関心事ですが、この所、特に注目しているのは消費支出の動向です。
という事で、今日、同じく6月分が発表された家計調査と合わせて勤労者家計の収入と支出を見てみました。
少し長期に見るので、毎月勤労統計では時系列比較のしやすい賃金指数で見てみます。調査産業計、5人以上事業所で(いずれも対前年同月比)です。
現金給与総額の伸び:5月2.1%、6月3.6%、昨年の5,月、6月のそれぞれ0.6%、0.4%を大きく上回っていますし、所定内給与の伸び:5月0.9%、6月1.3%も昨年の5月、6月の0.7%、0.5%を上回っています。
一方、家計調査の「勤労者所帯(2人以上)」の消費支出を見ますと今年5月は前年同月比マイナス5.3%、6月はマイナス2.2%と全く振るいません。
結果的に平均消費性向は前年同月比で、5月:6.0%ポイントの低下(102.3%→96.3%)、6月:5.3%ポイントの低下(49.9%→44.6%)という状況になっています。
ボーナスなどの収入が伸びた場合、収入の伸びが大きいと、消費支出の伸びが追い付かず、消費性向が下がるという事はあり得ても、収入が増えたにもかかわらず、支出が減るというのが最近の状況なのです。
1~4月の消費性向の低下状況は この6月6日にも整理した通りですが、勤労者家計の節約志向は、異常とも思える状態ではないでしょうか。
現政権は、春闘の時だけ、賃上げ奨励で、それで消費を増やす政策を打ったつもりでいるのかもしれませんが、消費者の財布の紐が固い真の理由と言われる「将来不安」「老後不安」の問題に手を打たれなければ、消費不振からの脱出は容易ではないでしょう。
この問題は、最終的には「 政府の信用」という基本問題に行き着くのでしょうが、国際関係の混乱への対応のまずさ、気候変動による災害の激化、そして政治家も含む人災のひどさを見れば、国民が安心して消費行動を楽しめるようには、なかなかなりそうもないようで、これも将来不安を募らせているのでしょう。